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藤島武二

藤島武二

ふじしま たけじFujishima Takeji
8 作品

薩摩藩士の家に生まれ、はじめは狩野派や川端玉章のもとで日本画を学んだ少年だった。だが上京して洋画の存在を知るや迷いなく転向し、山本芳翠や曽山幸彦の画塾で油絵の基礎を叩き込まれる。やがて黒田清輝らの白馬会に加わり、外光派の明るい色彩を吸収しながら、東京美術学校の教壇にも立つようになった。

世紀の変わり目、与謝野鉄幹・晶子の雑誌「明星」の表紙や挿絵を手がけた仕事は、今も見る者を驚かせる。しなやかな曲線で女性の横顔を描くその図案は、当時ヨーロッパを席巻していたアール・ヌーヴォーの空気を、誰よりも早く日本の紙面に呼び込んだものだった。蝶に代表される優美な女性像は、この時期の仕事の延長線上にある。

三十代の終わりに文部省留学生としてパリへ渡り、ついでローマに移る。印象派の光の扱いだけでなく、プュヴィス・ド・シャヴァンヌの装飾的な壁画にも強く惹かれ、帰国後の画風は一段と重厚さを増した。代表作天平の面影は、留学の経験を血肉化した古典への憧れが結晶した一枚である。

しかし藤島の名を不動にしたのは、晩年に描き続けた太陽と海の連作だろう。房総や伊豆の岬に立ち、荒々しく打ち寄せる波と、水平線から昇る旭日をひたすら見つめた。大王岬に打ち寄せる怒濤や旭日を主題にした一群の作品は、装飾性と写実性が拮抗する独自の境地を示している。帝展の審査員を長く務め、後進の育成にも力を注いだ末、1937年には画家として初めて文化勲章を受けた。76歳で没するまで、筆を置くことはなかった。

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