
楊洲周延
ようしゅうちかのぶYōshū Chikanobu
29 作品
楊洲周延(1838〜1912)は、明治の「回顧」を一手に引き受けた絵師である。高田藩士の子に生まれ、国芳・三代豊国・国周に学び、彰義隊に加わって上野で戦った経歴を持つ。
その周延が明治半ばから量産したのが、《千代田之大奥》《千代田之御表》の連作だった。すでに失われた江戸城大奥の年中行事——雪の庭、貝合わせ、花見の行列——を、証言と考証で再構成したこの揃物は、旧幕臣が描いた「失われた江戸」の公式記憶になった。一方で鹿鳴館のドレスの欧洲管絃楽合奏之図のような開化絵も手がけ、和装から洋装へ移る明治の女性像を、《真美人》の連作で一枚ずつ検分するように描いている。
大奥もバッスルドレスも、周延にとっては同じ「風俗」だった。江戸と明治の両方を生き、両方を等距離で記録した眼の人である。明治45年(1912年)没。
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