名取春仙(1886〜1960)は、新版画の役者絵を一人で背負った画家である。朝日新聞の挿絵画家として夏目漱石『虞美人草』などの連載を飾る一方、大正から昭和にかけて《春仙似顔集》の役者版画を制作した。 六代目菊五郎、初代吉右衛門、十五代目羽左衛門——大首絵の型に大正の舞台照明を持ち込んだ似顔は、写楽・国周に連なる役者絵の系譜の、最後の本格的な達成とされる。
1925・木版多色刷
1926・木版多色刷