墨をたっぷり含んだ筆が、太く据わった線を紙の上へ押し進めていく。迷いはなく、字と字のあいだを勢いよく飛ぶ――近衛信尹(1565〜1614)の書を前にすると、まずこの筆圧につかまる。安土桃山から江戸のごく初めを生きた公家で、太政大臣近衛前久を父に持つ近衛家の当主。三藐院と号し、和歌にも連歌にも絵にも手を伸ばした。 家柄は申し分ない。
1610
1607
装飾料紙墨書/帖(36枚)
1610・紙本墨画/掛幅
1573–1614・紙本着色金銀彩