
川瀬巴水
かわせはすいHasui Kawase
219 作品
川瀬巴水(1883〜1957)は、大正から昭和にかけて日本各地を旅し、その風景を木版画にした新版画の版画家である。東京・芝に生まれ、25歳ごろ鏑木清方に入門を願って「画家になるには年をとりすぎている」と断られたと伝わる。洋画の研究所に通ったのち、明治43年(1910年)、27歳で清方への入門を許された。「巴水」の号は清方が付けた。
大正7年(1918年)、同門の伊東深水の木版画を見て版画に向かい、版元・渡邊庄三郎のもとで塩原おかね路ほか「塩原三部作」を出した。絵師・彫師・摺師の分業で作る新版画の風景を担い、何が好きかと聞かれれば「即座に旅行!」と答えると自ら書いた。関東大震災で家と写生帖を失ったが、渡邊に旅費を出されて生涯最長の写生旅行に出た。大正14年(1925年)、震災後の東京を描く「東京二十景」の第一作に芝増上寺を選び、東京二十景 馬込の月は「巴水ブルー」の代表作と目される。1930年には深水が展覧会のパンフレットで巴水を「旅情詩人」と呼び、同じ年、米国トレド美術館の新版画展にも作品が並んだ。
昭和27年度(1952年度)、文化財保護委員会による木版画技術の記録事業で風景画を受け持ち、翌年、版木9枚・42度摺りの増上寺の雪を完成させた。昭和32年(1957年)、絶筆平泉金色堂の完成を見ずに胃癌でこの世を去り、版画は渡邊が仕上げた。一枚ものの版画だけで約600点を残したとされる。
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