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浅

浅野竹二

あさの たけじAsano Takeji
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一枚の版画に「刀」と「摺」の文字を添えて署名する——浅野竹二(1900〜1998)にとって、それは自分の手で描き、彫り、摺ったという矜持のしるしだった。京都に生まれ、京都市立絵画専門学校で洋画から日本画へと進み、土田麦僊に師事して国画創作協会の周辺で腕を磨いた。だが1928年、創作版画運動の旗手平塚運一の木版講習に触れたことが転機となる。翌年には京都創作版画協会の創設に加わり、日本画家の道からきっぱりと版画家へ舵を切った。

浅野の本領は、京都という土地を四季のうつろいのなかに置いた名所絵にある。1930年の連作《新京十二ヶ月》に始まり、戦後の《京阪名所》へと続く仕事では、社寺や街並みを地誌としてではなく、雨、雪、月夜、夕暮れといった時候の気配とともに一場の情景としてとらえた。1950年代からは芸艸堂(うんそうどう)のために新版画も手がけ、さらに北海道・九州・四国と各地を巡る「ここかしこ」の風景連作へと画域を広げていく。自画・自刻・自摺を生涯貫いた点が、分業前提の新版画のなかで異彩を放つ。

晩年、作風は大きく開いた。1960年代、来日したアメリカの画家ベン・シャーンと親交を結んで以降、鳥や馬、楽器を奏でる人物を大胆にデフォルメし、原色を効かせた、素朴でユーモアと詩情のあふれる版画へと転じたのである。カーネギー美術館、ロサンゼルス郡美術館、京都国立近代美術館などに作品が収まる、二十世紀京都の版画を担った一人である。

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