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住吉如慶伊勢物語 東下り・宇津の山
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住吉如慶が晩年に描いた「伊勢物語」の画帖のうち、今に残る9図の一つである。数ある伊勢物語の絵の中でもすぐれたものとされる。「伊勢物語」は10世紀の平安時代に書かれ、長く「源氏物語」と並んで親しまれてきた。この図は第9段「東下り」の一場面で、宇津の山の道で、在原業平とみられる男と二人の従者が僧に出会う。
右下の落款は「住吉法橋筆」と読める。法橋はもとは僧の位で、すぐれた画家にも与えられた。如慶が法橋となったのは寛文元年(1661年)、住吉を名のったのは翌年なので、この画帖は寛文2年(1662年)以降の作とみられる。大英博物館は1881年、日本で絵を集めたウィリアム・アンダーソンから画帖を購入した。アンダーソンの1886年の目録は詩歌の絵として紹介し、伊勢物語の名を挙げず、18世紀の作かとしていた。
場面の選び方と構図は、将軍徳川家綱の正室の遺品として津軽家に伝わった如慶の《伊勢物語絵巻》と重なる。画帖では脇の人物を減らし、建物や背景を整理して、小さな画面に合う簡潔な形にしている。


