
Public domain
鈴木春信やつし草摺引
0
鈴木春信は、生涯、歌舞伎役者の絵を描かなかったと伝わる。その春信が、役者絵に似顔を取り入れた一筆斎文調とただ一度組んだとされる図が《やつし草摺引》だ。
題の「草摺引」は、曾我兄弟の仇討ちを題材にした芝居の場面を指す。仇のもとへ駆けようとする曾我五郎を、朝比奈が鎧の裾をつかんで引き止め、力比べになる。この図では鎧に代わり、女の上着の裾が引かれていると読める。題の「やつし」は、姿を変えるという意味だ。
この摺りの左下には文調の名だけが残る。同じ図の右端が切られていない摺りには、屏風の右下に「春信戯画」の文字もあるが、この摺りではその部分が切られている。「戯画」は戯れに描いた絵を意味し、絵師が自分の絵をへりくだって呼ぶときにも使う。









