
Public domain
歌川豊国三代目沢村宗十郎の大星由良之助
0
「古今無比」と絶賛された三代目沢村宗十郎の大星由良之助を、初代歌川豊国は上半身を大きく描く大首絵にした。由良之助は「仮名手本忠臣蔵」で主君の仇討ちを率いる、大石内蔵助をモデルにした人物だ。その役の原型は、宗十郎の祖父にあたる初代にさかのぼる。延享4年(1747年)、京都の芝居で初代が大石内蔵助にあたる大岸宮内を演じると、とくに祇園で酔う場面が評判を呼び、翌年に初演された「仮名手本忠臣蔵」はこの芝居に刺激されて作られた。
この図も、所蔵館の記録では七段目の由良之助で、敵の目を欺くため祇園の茶屋で遊ぶ場面である。扇の渦を巻く水の模様は「観世水」と呼ばれる。同じ図を持つウースター美術館の解説は、宗十郎と強く結びついて流行した模様とする。東洲斎写楽が寛政6年(1794年)に描いた宗十郎の大首絵にも、同じ模様の扇が見える。
所蔵館は制作を1802年ごろとするが、宗十郎はその前年の享和元年(1801年)に没している。画中には「豊国画」の署名だけがあり、どの舞台を描いたかは示されていない。









