一枚の版画に、山も人も花も描かれていない。色の帯がうねり、線がふるえ、余白がぽっかりと空いている——恩地孝四郎(1891〜1955)が1915年に彫った《抒情》の連作は、日本の近代美術で形あるものを手放した最初の一群に数えられる。喜びや痛みを、木を彫り紙に摺るという手の仕事だけで写しとろうとした。
1955
1954
1953
1952