本名ドメニコス・テオトコプーロス。クレタ島の生まれで、最初に学んだのはビザンティン聖像画の技法だった。金地に浮かぶ聖人像を描く徒弟修業を終えたのち、二十代でヴェネツィアへ渡る。そこで出会ったのがティツィアーノの工房であり、ティントレットの劇的な筆致だった。色彩を厚く塗り重ね、光を人物の輪郭ごと歪ませるヴェネツィア派の呼吸を、彼は生涯手放さなかった。
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