孔雀が羽を広げ、牡丹が重たげに咲き、鸚鵡が枝先で首をかしげる——滝和亭(1830〜1901)の絹本を前にすると、庭先の一角がまるごと切り取られてそこにある。江戸千駄ヶ谷の生まれ。本姓は田中、名は謙、字は子直、蘭田とも号した。幼くして佐藤翠崖に筆をとり、のちに大岡雲峰、坂本浩然に学んで、南画の描き方を体に入れていった。