古びた絹に手を通す。岡田三郎助が女性像を描くとき、まずモデルに着せたのは、彼自身が集めた時代裂の衣装だった。生涯で九百点あまりを蒐めたという古裂の、褪せた藍やくすんだ金泥。その布地のひだと光沢を、うなじの陰翳ごとたどっていくのが、この画家のやり方だった。《あやめの衣》では菖蒲を染め出した衣がモデルの肩から流れ落ち、布そのものが主役のように画面を占める。
1927
1901
1893
1936
1908・油彩・カンヴァス