金色の地に、群青と緑青だけで杜若が咲いている。水も土もどこにも描かれていないのに、見る者の目には八橋の沢が広がる——《燕子花図屏風》(根津美術館・国宝)は、尾形光琳がものの形を思いきって切り詰めた末にたどり着いた画面だ。『伊勢物語』の東下りで在原業平が杜若の花に都を思って歌を詠んだ、あの八橋の一場。光琳はその物語を、花の反復と余白だけで屏風の上に立ち上げた。
1710
1710・紙本金地着色/六曲一双屏風
1702
1680–1716・紙本着色/掛幅
1700–1716・瓢箪・漆彩色
1715–1730・紙本金地着色/六曲一双屏風
1700・絹本墨画/掛幅
1706