
ロヒール・ファン・デル・ウェイデン
Rogier van der Weyden
11 作品
十字架降下の前に立つと、絵の中の悲しみがそのまま体温を持って伝わってくる。金地の浅い箱舞台に押し込められた十人ほどの人物が、崩れ落ちるキリストの遺体を軸に渦を巻くように配置され、聖母マリアの気絶した体はキリストの垂れた腕とほとんど同じ曲線を描く。彫像のような静止と、痛みのうめきが同時に聞こえてくるような矛盾が、この画家の真骨頂だった。
トゥルネー生まれ。1427年、すでに三十路に近い年齢で名匠ロベルト・カンピンの工房に「ロジュレ・ド・ラ・パスチュール」として弟子入りした記録が残る。フランドルの写実を叩き込まれたのち、1435年頃にブリュッセルへ移り、翌年には市の公式画家に任命される。同時代のヤン・ファン・エイクが光と質感の再現に驚異的な冷静さを見せたのに対し、ロヒールが追い求めたのは人間の感情そのものだった。悲嘆にゆがむ口元、涙を堪える目、祈りに固く組まれた指——ひとつひとつの身振りが台詞のように語りかけてくる。
ブルゴーニュ公国の宮廷や大法官ニコラ・ロランのような大物からも制作を任され、ボーヌの施療院のために描いた最後の審判の大祭壇画は、天秤に載せられ裁かれる魂の行列という主題を、恐怖ではなく静かな緊張感で描き切っている。1450年の聖年にはローマへ旅し、その簡潔で劇的な構図はイタリアの画家たちにも波紋を広げた。工房からはハンス・メムリンクをはじめ多くの弟子が育ち、その肖像画の様式——三分の二正面、黒を基調にした簡素な背景、内面を見透かすような眼差し——は、以後半世紀にわたり北方の肖像画の規範となった。
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