
ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ
Dante Gabriel Rossetti
12 作品
ロンドンに生まれたロセッティは、イタリアから亡命した詩人学者の父を持ち、家の中では絵よりも先に言葉があった。実際、生涯を通じて彼は画家であると同時に詩人でもあり、名の由来であるダンテ・アリギエーリの世界に終生取り憑かれていた。1848年、まだ二十歳のとき、ジョン・エヴァレット・ミレイやウィリアム・ホルマン・ハントとともにラファエル前派兄弟団を結成する。アカデミーが範としたラファエロ以降の様式を退け、ボッティチェリに代表される初期ルネサンスの澄んだ色彩と率直な感情表現に戻ろうとした運動だった。
ロセッティの絵の中心には、いつも一人の女性の顔がある。最初はモデルであり妻となったエリザベス・シダル。彼女がローダナムの過量摂取で急逝したのち、その面影を悲しみのうちに描いたベアタ・ベアトリクスは、ダンテが亡きベアトリーチェを悼んだ詩をなぞるように、恍惚と喪失を重ね合わせた一枚になった。悲嘆のあまり未発表の詩稿を妻の棺に納めたが、後年それを掘り起こして出版するという生々しい逸話も残っている。晩年は友人ウィリアム・モリスの妻ジェーンを繰り返しモデルに起用し、プロセルピナアスタルテ・シリアカなど、豊かな装飾と重い象徴性をまとった女性像を量産した。
慢性の不眠とクロラール依存に苦しみながらも、エドワード・バーン=ジョーンズら次代の画家たちに強い影響を与え、ラファエル前派の詩的で耽美的な系譜を後のイギリス象徴主義へと橋渡しした。1882年、療養先のバーチントンで54歳の生涯を閉じている。
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