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橋口五葉

橋口五葉

はしぐちごようHashiguchi Goyō
30 作品

橋口五葉(1881〜1921)は、わずか一点の版画星座の中心にいる。髪梳ける女——湯上がりの女が黒髪を梳く大判木版は、大正9年(1920年)の制作からわずか五か月後に画家が急逝したために、新版画美人画の「絶頂で止まった時計」になった。

鹿児島に生まれ、東京美術学校を首席で出た五葉の本業は、まず装丁だった。夏目漱石『吾輩ハ猫デアル』の装丁で世に出て、漱石本・鏡花本のブックデザインでアール・ヌーヴォーを和装本に翻訳した。三越の懸賞ポスター《此美人》(1911年)は広告史の記念碑である。

版画に向かったのは晩年の数年に過ぎない。浮世絵の研究と復刻に沈潜したのち、彫師・摺師を自宅に招いて私家版の制作に入り、化粧の女浴場の女雪の伊吹山とわずか十数点を仕上げたところで、流行性感冒をこじらせて没した。享年四十。数の少なさが、そのまま神話になった。

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