道頓堀の芝居小屋で役者が見得を切る——その一瞬を大判の紙面に閉じ込めた絵師がいる。春江斎北英、のちに春梅斎北英と号した大坂の上方浮世絵師である。生没年ははっきりせず、天保8年(1837年)に世を去ったとだけ伝わる。筆をとったのは文政11年(1828年)頃から没年までのわずか九年ほど。