線を引きすぎない――菊池契月(1879〜1955)の人物画を前にすると、まずそのことに気づく。輪郭は淡く、筆数は切り詰められ、女性の頬や衣の襞は語りきらぬまま余白に溶けてゆく。近代京都画壇にあって、四条派の柔らかな写生を、削ぎ落とした線描の気品へと磨き上げた日本画家である。本名は完爾。長野県中野町(現・中野市)の細野勝太郎の次男として生まれた。
1910
1931
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