一匹の猫を、これほど生々しく画絹に留めた絵師がいただろうか。《班猫》(1924年、山種美術館蔵、重要文化財)の前に立つと、身をよじって毛づくろいする三毛の、逆立つ毛の一本一本と、そこに流れる体温までが同時に迫ってくる。竹内栖鳳(1864〜1942)——京都・四条通の料理屋「亀政」に生まれ、京都画壇を近代へと押し出した日本画家の、これが到達点のひとつである。
1913・絹本著色/掛幅
1937・木版色摺(芸艸堂 刊『栖鳳逸品集』の1図)
1940・木版色摺(芸艸堂 刊『栖鳳逸品集』の1図)