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歌川国貞(三代目歌川豊国)吉原夜景
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吉原の目抜き通り、仲之町の夜である。頭に布をかぶって顔を隠した男が、窓辺の遊女に別れを告げている。布は寒さよけではなく、誰と分からないようにするためのものである。
そして夜空の星のあいだに、狂歌が二首摺り込まれている。暗い地に暗く摺ってあるので、普通に眺めても見えない。美術館の記録は、画中に二人の狂歌師の名があることも記している。
摺物は、売り物の錦絵ではなく、狂歌師などが自費で摺らせて知人に配った版画をいう。厚い紙を使い、空摺りや銅粉・銀粉を用いた凝った摺りが多い。アムステルダム国立美術館はこの一枚を摺物に分類し、作者を二代目歌川国貞、制作を1852年から64年ごろとしている。オランダのケルト語学者マールチェ・ドラークの遺贈品である。
作家プロフィール

歌川国貞(三代目歌川豊国)
幕末の江戸で「浮世絵師」と言えば、まずこの人を指した。歌川国貞(1786〜1865)、のちの三代目豊国。生涯の作画量は一万点をゆうに超えるとされ、質はともかく量において、浮世絵史上に並ぶ者はいない。本所五ツ目の渡船場の株を持つ家に生まれ、十代で初代歌川豊国に入門。若くして役者絵の似顔の巧さで頭角を現した。 真骨頂は役者絵である。
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