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尾形月耕月耕随筆 稲荷山小鍛治
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能「小鍛冶」の場面である。一条天皇から刀を打つよう命じられた宗近には、腕の釣り合う相槌がいなかった。稲荷に祈ると童子が現れ、相槌を引き受けると告げて消える。宗近が壇を築き注連縄を張って待つと、稲荷明神が狐の姿で現れて槌を打ち合わせ、刀が仕上がる。表に「小鍛冶宗近」、裏に「小狐」と銘を切ったこの刀が小狐丸である。月耕は明神を能の装束、赤頭に狩衣で描いている。
「月耕随筆」は明治24年から28年(1891〜95年)に武川利三郎が出した揃物で、戦国の武者、中国の故事、昔話、鬼や龍まで、古今の題材を集めている。尾形月耕(1859〜1920)は師につかず独学で、浮世絵から日本画へ進んだ。白い衣に空摺の文様、霞は板ぼかし。左端の刊記は明治26年(1893年)1月。









