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喜多川歌麿『画本虫撰』 「馬追虫」「むかて」
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恋しい人の唾に溶けて、おできの薬になりたい。喜多川歌麿が絵を描いた狂歌絵本『画本虫撰』のこの見開きで、狂歌師の鹿都部真顔(しかつべのまがお)が「むかて」(むかで)の題で詠んだ願いだ。
「馬追虫」の歌は唐衣橘洲(からころもきっしゅう)の作で、夜ごと馬追虫のように泣き、君へ心の端綱をのばすと詠む。端綱は馬の口につけて引く綱で、ウマオイの名は雄の鳴き声が馬子の馬を追う声に似ることからついた。虫の名に端綱をかけた歌と読める。
本は天明8年(1788年)正月、蔦屋重三郎の耕書堂から出た。撰者の宿屋飯盛が30人の狂歌師に、虫を題にした恋の戯れ歌を詠ませた。この見開きは全15図の2図目で、馬追虫がとまる草はカヤツリグサの一種、むかでが這う草はトリカブトの一種である。師の鳥山石燕は跋で、幼い歌麿が糸でつないだトンボや手のひらのコオロギに夢中だったと記している。









