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喜多川歌麿『画本虫撰』 「蝶」「蜻蛉」
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虫の絵本なのに、添えられた歌はどれも恋の歌だ。喜多川歌麿の『画本虫撰』は、虫・貝・鳥を描いた絵本三部作の、最初の一作にあたる。歌麿は美人画より先に、これらの絵本で腕を認められた。
添えられた歌は狂歌と呼ばれる。身近な題材にしゃれや風刺をきかせた短歌のことだ。この見開きの一首は、夢の中で蝶になり、恋しい人の花のような唇を吸ってみたいと詠む。絵の蝶がとまるのはケシの花である。
もう一首は、人の心がトンボのように飛び去るなら、鳥黐(とりもち)を塗った竿で捕まえて放すまい、と詠む。鳥黐は、小鳥や虫を捕るための粘りのある物だ。子どもたちは昔から、これを塗った竿でトンボを捕って遊んだ。絵のトンボのそばにある丸い実は、花が散ったあとのケシの実で、芥子坊主と呼ばれる。









