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カスパー・ダーヴィト・フリードリヒ夕暮れの港の船
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注文主は、ドイツの実業家で美術収集家のマクシミリアン・シュペック・フォン・シュテルンブルクである。手前の舟の船体に、献辞として「Maxn v. Speck」と書き込まれている。原題には「日没後」という副題が添えられている。
シュペックは、人生を死に向けて整えることを重んじた人だった。訪れた客に自分の将来の墓所を見せ、1836年に妻を亡くすと、その心臓を身近に置いたという。港は船出の場所であり、帰り着く場所でもある。フリードリヒの港の絵は、人生の始まりと終わりを示す「人生の港」として読まれてきた。この注文主と画家の考え方の重なりから、フリードリヒの構図の中でも特に入り組んだ一枚が生まれたとされる。
シュペックは1856年に没し、絵は翌1857年に競売にかけられた。
- 作品種別
- 絵画
- 技法
- 油彩・カンヴァス
- 制作年
- 1828
- 作品サイズ
- 76.5 × 88 cm
作家プロフィール

カスパー・ダーヴィト・フリードリヒ
後ろ姿の人物が、果てしなく広がる霧や海や氷原を前にただ立ち尽くしている。フリードリヒの絵を一度見た者は、あの背中を忘れられない。《雲海の上の旅人》の男も、《海辺の僧侶》の小さな影も、風景の雄大さに呑まれながら、こちらに顔を向けようとしない。見る者は人物の視線を借りて、その向こうの自然と対峙させられる仕組みになっている。
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