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死:わが皮肉はあらゆるものを凌ぐ
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オディロン・ルドンオディロン・ルドン

死:わが皮肉はあらゆるものを凌ぐ

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フローベールの小説『聖アントワーヌの誘惑』(1874年)の最終章から。砂漠の隠者アントワーヌの前に、死んだ母かと見まがう老婆と、薔薇を頭に飾った若い女が現れる。老婆の経帷子が開いて死神の骸骨が、若い女の衣が裂けて「淫欲」の体があらわれ、二人はアントワーヌを奪い合う。淫欲が「わたしの深淵のほうが深い」と言うと、死神は題の「わが皮肉はあらゆるものを凌ぐ」で応じ、王の葬儀にも民の殺戮にも快楽の痙攣があり、人は音楽と羽飾りと旗で戦争をする、と続ける。

二人が抱き合って歌うと、アントワーヌは仰向けに倒れる。ときおり目を開けると、闇の中に、薔薇の冠をかぶった髑髏が真珠色の女の胴の上にのり、その下の経帷子が尾となって、立ち上がった巨大な虫のようにうねる怪物が見える。起き上がったアントワーヌは、それが淫欲と破壊の二つの姿をもつ悪魔だったと悟る。

ルドンはこの本を友人の批評家エミール・エヌカンから手渡され、そこに新しい怪物が見つかるだろうと言われた。1888年、89年、96年の3度、この本による石版画集を出しており、これは1889年の第二集『ギュスターヴ・フローベールに』の3枚目で、60部が刷られた。この一枚は、題の文字を入れる前の試し刷りである。

作品種別
版画
技法
リトグラフ
制作年(画)
1889
作品サイズ
26 × 20 cm

作家プロフィール

オディロン・ルドン
オディロン・ルドン

ボルドーの商家に生まれ、幼少期を実家の葡萄園ペイルルバードで過ごした。虚弱な子供で、ひとり庭の木々や雲を眺めて育ったという。パリでジェロームに師事するも堅苦しい画塾に馴染めず、故郷に戻ってから運命的な出会いを得る。

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