一尾の鮭が、藁縄で吊るされたまま宙にぶら下がっている。身をよじった切り身の断面には脂が浮き、皮の縞模様まで指でなぞれそうな質感がある。《鮭》を初めて見た者は、たいてい絵の前で足を止める。江戸期の絵師たちが避けてきた「そのものらしさ」を、油絵具という新参の道具でここまで押し通した人間が、幕末の日本にいたという驚きがある。
1877
1876
1881
1870
1872