名を継ぐとは、どういうことか。安政5年(1858年)に師が世を去ったとき、初代の《名所江戸百景》はまだ刷りを重ねている最中だった。売れ続ける揃物には欠けを埋める新図が要る——後版で差し替えられた〈赤坂桐畑雨中夕けい〉は、師ではなく弟子の手になる。この一枚に、二代目歌川広重という絵師の立ち位置がすべて凝縮されている。
1859・木版多色刷