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小

小野竹喬

おのちっきょうOno Chikkyo
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瀬戸内の光を、絵具ではなく間合いで描いた画家である。岡山県笠岡の廻船問屋に生まれ、十七歳で京都に出て竹内栖鳳の画塾に入る。そこで机を並べたのが土田麦僊と村上華岳、生涯の同志となる二人だった。1918年、師の写生主義に飽き足らなくなった若い三人は国画創作協会を旗揚げする。京都画壇の主流を割って出る、当時としては大胆な行動だった。

転機は1921年からの渡欧である。セザンヌやゴッホの原画を前にして、竹喬は衝撃を受けた。帰国後の作品は一時、色面を大胆に割る構成的な画風に振れるが、彼が最終的にたどり着いたのはむしろ逆の方向だった。説明を削ぎ、余白を残し、対象をぎりぎりまで単純化していく。戦後の代表作《郷土風景》《冬日帖》では、故郷笠岡や瀬戸内の島影が、輪郭線をほとんど使わない淡い色面の重なりだけで立ち上がる。写生から出発しながら、写生を超えたところに絵を置いた画家だった。

晩年は松尾芭蕉『おくのほそ道』を題材にした連作《奥の細道句抄絵》に取り組み、俳句の間合いと日本画の余白を重ね合わせるような境地に至る。1976年、文化勲章受章。京都の風景画に西洋近代絵画の空気を通しながら、最後は俳諧の枯淡へと帰っていった、その往還そのものが竹喬の画業と言える。

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