
ルイス・コンフォート・ティファニー
Louis Comfort Tiffany
10 作品
宝飾店ティファニー&カンパニーを興したチャールズ・ルイス・ティファニーの息子として、ニューヨークに生まれた。家業を継ぐことを周囲は期待したが、本人が惹かれたのは絵筆とガラスの光だった。画家ジョージ・イネスに学んで風景画からキャリアを始め、若い頃には北アフリカやヨーロッパを旅してイスラム建築のタイルやモザイクの色彩に強い衝撃を受けている。この体験が、のちの仕事の核になった。
30代で画業から装飾美術へと軸足を移し、室内装飾の会社を経てガラス製造に本格的に乗り出す。ガラスそのものに金属酸化物を溶かし込んで虹色や乳白の輝きを内側から生む「ファヴリル・ガラス」を開発し、これが代名詞となった。教会のステンドグラス窓、モザイク壁画、そして今日もっともよく知られる「ティファニー・ランプ」——蜻蛉や藤、孔雀の羽をモチーフにした鉛線細工のシェード——は、量産される工業製品と一点物の工芸の境界をあえて曖昧にした点で当時としては挑戦的だった。ホワイトハウスの装飾を手がけたこともある。
日本の美術工芸への関心も深く、輸入品を蒐集し文様や余白の取り方を自作に取り込んだ。ロングアイランドに築いた大邸宅ローレルトン・ホールは、その集大成というべき総合芸術の場だった。晩年、アール・ヌーヴォーの流行が去るとともに評価は急速に色あせ、忘れられた存在になりかけたが、20世紀半ば以降にガラス工芸そのものの価値が見直され、いまでは近代アメリカ装飾美術を代表する名として揺るぎない位置を占めている。
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