
フラ・アンジェリコ
Fra Angelico
10 作品
本名グイド・ディ・ピエトロ。若くしてドミニコ会に入り、フィエーゾレの修道院で誓願を立てて「フラ・ジョヴァンニ」となった。絵筆を執ったのも祈りの延長で、後世は彼を「天使のような修道士」を意味するアンジェリコの名で呼んだ。ヴァザーリは伝記のなかで、彼が十字架像を描くたびに涙を流していたと書き残している。
フィレンツェの様式はまだ国際ゴシックの金地と優美な曲線を引きずっていたが、フラ・アンジェリコはそこにマサッチオが切り開いた奥行きと量感を取り込み、二つの時代をつなぐ画家になった。代表作はサン・マルコ修道院の各僧房に描いた壁画群で、なかでも階段を上がってすぐの受胎告知は、装飾を極限まで削ぎ落とし、静かな光だけで聖性を語る画面として名高い。同じ修道院のノリ・メ・タンゲレや、サンタ・トリニタ聖堂のために手がけたキリスト降架、ルーヴル美術館の聖母戴冠も彼の代表作に数えられる。
色彩は透明感のある青と金を基調とし、人物の表情は控えめだが、光の扱いにはフィレンツェ絵画らしい合理性が宿る。晩年はローマに招かれ、ヴァチカン宮殿のニコラウス五世礼拝堂に壁画を残して1455年に没した。教皇庁の墓所に眠り、1982年には列福されて、今日ではカトリックの画家・美術家たちの守護聖人としても崇敬されている。
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