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カミーユ・ピサロ

カミーユ・ピサロ

Camille Pissarro
39 作品

生まれはカリブ海、デンマーク領だったサン・トマ島。港町の商家に育ち、少年時代に見た熱帯の光と市場の賑わいが、のちの絵筆に染みついている。二十代でパリに出てコローに学び、クールベの実直な写実にも惹かれたが、ピサロが選んだのはアトリエではなく戸外だった。ポントワーズ、ルーヴシエンヌと畑や果樹園の広がる村を転々と描き、耕す農婦や雪の残る道、傾いた屋根の連なりに、飾らない生活の手触りを写し取った。

印象派という運動そのものの背骨と言っていい存在で、1874年の第一回展から1886年の最終回まで、全八回すべてに出品した唯一の画家である。年下の仲間たちへの面倒見のよさも際立ち、ルーヴルの模写に通っていた若きセザンヌに戸外制作の手ほどきをし、ゴーギャンにも助言を惜しまなかった。晩年、点描を試みるスーラやシニャックの理論に真剣に耳を傾け、還暦を過ぎてなお自分の描き方を作り直そうとした柔軟さは、印象派の同世代の中でも異色だった。

視力の衰えから戸外制作が難しくなった晩年は、ルーアンやパリのホテルの窓から大通りを見下ろす連作に活路を見出す。モンマルトル大通り、朝、日差しのような都市風景では、雑踏や馬車の流れを筆の速い動きで捉え、村の農婦を描いていた画家と同一人物とは思えないほどの躍動感を見せた。代表作にはほかにエラニーの春赤い屋根などがあり、故郷エラニー=シュル=エプトの庭と畑は、亡くなる年まで彼の主題であり続けた。

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