
ベルト・モリゾ
Berthe Morisot
28 作品
ブールジュの裕福な家に生まれ、姉エドマとともに絵筆を握ったのは十代の初め。当時の慣習どおり最初は趣味の域を出ないはずが、コローに師事してから風景を戸外で描く手ほどきを受け、腕はみるみる本物になっていく。1868年、ルーヴルで模写をしていたところをエドゥアール・マネに見出され、以後この画家一族と深く結びつく。マネのモデルを幾度も務め、バルコニーの憂い顔の女性として絵の中に残る一方、絵画的な影響は双方向に流れ、マネの筆はモリゾと出会って明るさを増したとも言われる。1874年にはマネの弟ウジェーヌと結婚し、姓は変わっても画業を手放すことはなかった。
同じ1874年の第一回印象派展に参加した唯一の女性であり、以後の展覧会にもほぼ毎回名を連ねた数少ない中心メンバーだった。画題に選んだのは自宅の居間、庭、テラス、そして何より娘ジュリーの成長する姿。ゆりかごでは眠る赤子を見つめる姉エドマの横顔を、輪郭を溶かすような淡い筆致で捉え、母性の場面を感傷に流されず観察の対象として描き切った。晩年に近づくほど筆はさらに軽くなり、白や淡い水色の絵具を紙の地色のように使って、画面に光と空気そのものを定着させる独自の境地に達する。ロココの巨匠フラゴナールを曽祖父に持つ血筋が、装飾性と即興性を重んじる感覚のどこかに息づいていたのかもしれない。1895年、パリで肺炎のため53歳で世を去った。
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