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ベニスの月
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竹内栖鳳竹内栖鳳

ベニスの月

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この掛幅は筆で描いた絵ではなく、竹内栖鳳の下絵をもとに髙島屋が染めたビロード友禅である。ビロード友禅では、染織職人が下絵を写して筆で染料を塗っていく。栖鳳は明治22年(1889年)から髙島屋の意匠部で呉服の下絵を描いていた。原画の《ベニスの月》は明治37年(1904年)に絹地に墨で描かれ、髙島屋史料館に残る。両者を並べて観察した廣田孝は、寸分の違いもなく仕立てられていたと記している。

明治43年(1910年)、髙島屋はロンドンの日英博覧会に友禅天鵞絨の壁掛「世界三景 雪月花」三幅対を出品した。山元春挙の「ロッキー山の雪」、都路華香の「吉野の桜」と組み、栖鳳が「月」を受け持った。

描かれているのはヴェネツィアのサンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂である。栖鳳は明治33年(1900年)にパリ万博の視察で渡欧し、ヴェネツィアも訪れた。この旅でターナーやコローの作品を実見し、強い影響を受けたとされる。

Work Type
Mixed Media
Technique
ビロード友禅/掛幅
Year Created
1910
Dimensions
223 × 173 cm

Artist profile

竹内栖鳳
竹内栖鳳

一匹の猫を、これほど生々しく画絹に留めた絵師がいただろうか。《班猫》(1924年、山種美術館蔵、重要文化財)の前に立つと、身をよじって毛づくろいする三毛の、逆立つ毛の一本一本と、そこに流れる体温までが同時に迫ってくる。竹内栖鳳(1864〜1942)——京都・四条通の料理屋「亀政」に生まれ、京都画壇を近代へと押し出した日本画家の、これが到達点のひとつである。

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