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鈴木其一

鈴木其一

すずききいつSuzuki Kiitsu
7 Artworks

染物屋の家に生まれた少年が、江戸琳派の総帥酒井抱一の内弟子になったのは十七、八の頃だったという。抱一の傍らで長く絵筆を握り、師の温和で詩情豊かな画風を叩き込まれながらも、其一の目はどこか違う方向を見ていた。抱一が没すると、その画塾を継いで一門を率いる立場に立つ。だがそこから其一が描き出したのは、師の柔らかな余韻とは異質な、輪郭の鋭さと色彩の強さで押し切る絵だった。

代表作夏秋渓流図屏風は、群青の渓流が画面を切り裂くように流れ、緑青の樹葉と朱の紅葉が対比しながら燃え立つ一双で、装飾画でありながら自然を写す執念のような密度を持つ。朝顔図屏風では蔓の一本一本を丹念に追い、金地の上に群青の花を波のように配置して、単なる花鳥図を超えた抽象的なリズムを作り出した。琳派の型を踏まえながら、江戸琳派特有の装飾性を極限まで研ぎ澄ませ、次の世代が驚くほど硬質でグラフィックな絵画言語へと変えてしまった画家である。

尾形光琳から抱一へ受け継がれた型を消化した上で、其一はそれを個の表現へと引き寄せた。息子の鈴木守一も家業として画系を継いだが、其一自身の仕事の鋭さは一代限りの突出として際立っている。近代以降、その色彩感覚と構成の大胆さは再評価が進み、琳派史における抱一以後の最重要人物として位置づけられている。

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