
ジャン=バティスト・シメオン・シャルダン
Jean-Baptiste-Siméon Chardin
13 Artworks
パリの職人街、サン=ジェルマン・デ・プレの近くで家具職人の息子として生まれた。歴史画こそが絵画の頂点とされた時代に、シャルダンが選んだのは台所の隅、食卓の上、子供部屋の静けさだった。銅の水差し、剥かれた蕪、開いたままの手紙、そして皮を剥がれて壁に吊るされた一匹の赤エイ——1728年、この静物画一枚で王立アカデミーへの入会を認められる。動物の内臓の質感まで生々しく描き出したこの作品に、後年ディドロは「マチエールそのものが震えている」と評した。
技法は独特だった。筆を何度も重ね、絵の具を厚く置き、遠くから見て初めて像が結晶する描き方は、印象派を先取りしていたとすら言われる。実際、19世紀に彼を再発見したマネや、静物画の構成そのものを引き継いだセザンヌは、シャルダンの画面に自分たちの探求の先例を見出した。
静物と並行して、彼は市井の暮らしを慎みをもって描いた。食前の祈りを捧げる母子を描いた食前の祈り、シャボン玉に見入る少年を描いたシャボン玉——そこには貴族の劇的な身振りではなく、日常が持つ静かな尊厳がある。晩年、油彩の細かい筆致が目に負担をかけるようになると、パステルに転じ、緑色のバイザーをかけた自画像など、率直で親密な肖像群を残した。派手な逸話も劇的な生涯もない画家だったが、「見ること」そのものの誠実さにおいて、彼の絵は静物画というジャンルの水準を塗り替えた。
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