
オディロン・ルドン
Odilon Redon
12 Artworks
ボルドーの商家に生まれ、幼少期を実家の葡萄園ペイルルバードで過ごした。虚弱な子供で、ひとり庭の木々や雲を眺めて育ったという。パリでジェロームに師事するも堅苦しい画塾に馴染めず、故郷に戻ってから運命的な出会いを得る。版画家ロドルフ・ブレダンから銅版画と石版画の技法を学び、同時に幼なじみの植物学者アルマン・クラヴォーを通じて顕微鏡の世界とダーウィンの進化論に触れた。この二つの出会いが、後の「黒の時代」と呼ばれる作品群の土壌になった。
30代から40代のルドンは、木炭画と石版画だけで異形のイメージを描き続けた。目玉だけの気球が虚空を漂う眼は奇妙な気球のように無限に向かう(エドガー・ポーに捧げる連作より)、蜘蛛の顔に人の目が浮かぶ微笑む蜘蛛——理性の外側にあるものを、黒一色の濃淡だけで描き出した。フローベールの『聖アントワーヌの誘惑』に取材した連作は、幻視という主題そのものを版画に落とし込んだ仕事として、一部の詩人や作家の熱狂的な支持を集めた。ステファヌ・マラルメと親交を結び、ユイスマンスは小説『さかしま』の主人公の部屋にルドンの版画を飾らせている。
50代に入ると、画面は突如として色彩に満ちる。パステルと油彩を手にしたルドンは、陰鬱な黒の世界から一転、花瓶に生けられた野の花や、キュクロプスに代表される神話的な主題を、宝石のような色彩で描くようになった。晩年は象徴主義の長老として若い世代に敬愛され、黒の幻視も色彩の陶酔も、後のシュルレアリスムへ直接の道を開いた。
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12 works
















