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オーギュスト・ロダン

オーギュスト・ロダン

Auguste Rodin
12 Artworks

パリの下町、貧しい警察官の家に生まれた。絵の才はあったのに、国立美術学校の入試には三度落ちている。石膏職人としてパリの街角の装飾を彫り、カリエ=ベリューズの工房で下働きをしながら、独学で粘土をこね続けた日々が長く続いた。転機はイタリア旅行だった。ミケランジェロの彫像を前にして、彼は「石の中に閉じ込められた人間」を見た。帰国後に発表した青銅時代は生身の実物から型を取ったと疑われるほどの生々しさで物議を醸したが、その疑惑こそが、彼の彫刻がいかに解剖学的な真実に迫っていたかの証だった。

代表作《地獄の門》は、ダンテの『神曲』に着想を得た装飾扉として国から依頼され、以後三十七年、未完のまま彼の仕事場に居座り続けた。ここから考える人接吻三つの影など、単体でも屹立する名作群が次々と切り出されていく。人物を英雄として理想化せず、筋肉のこわばりや皮膚のたるみ、うつむく背中の重みまでをブロンズに刻み込む手つきは、それまでの記念彫刻の作法を根底から覆した。市の依頼で手がけたカレーの市民では、英雄的な群像を求めた発注者の意に反して、縄を首にかけ命乞いに向かう男たちの怯えと逡巡をそのまま形にし、台座も低く据えて観る者と同じ地平に立たせた。

弟子であり愛人でもあったカミーユ・クローデルとの激しい関係は、互いの制作に深い痕跡を残しながら、最後は彼女を孤独と苦悩へ追いやる結末を迎えた。工房からはエミール=アントワーヌ・ブールデルをはじめ次代を担う彫刻家たちが巣立っている。晩年のバルザック像は、着衣の下の量塊だけで作家の精神を語ろうとした大胆な省略が理解されず酷評を浴びたが、後年になってロダン自身が最も愛した仕事だったと評価が定まった。近代彫刻を人体の理想化から解き放ち、素材の痕跡や未完の余白そのものに表現力を見出した最初の彫刻家である。

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