
水野年方
みずのとしかたMizuno Toshikata
9 Artworks
水野年方(1866〜1908)は、月岡芳年の門下から出て、浮世絵と日本画のあいだに橋を架けた絵師である。十代で芳年に入門し、師譲りの歴史画の骨法を、血の気を抜いた端正な線に組み替えた。
生計の主軸は挿絵だった。『やまと新聞』の挿絵画家として市井の物語に絵を付け、口絵の名手として尾崎紅葉ら硯友社の小説を彩った。錦絵では、茶の湯に集う女たちを描いた《三十六佳撰》のような揃物で、芳年の劇性とは正反対の、静かで行儀のよい美人画を完成させている。
歴史風俗画への志は門下へ受け継がれた。弟子の鏑木清方は年方の写生主義と挿絵の心得をそのまま近代日本画へ持ち込み、その清方から伊東深水が出る。芳年→年方→清方→深水——浮世絵の血脈が近代美人画へ流れ込む水路の、要の位置にこの人がいる。明治41年(1908年)、42歳で早世した。
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