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北脇昇クォ・ヴァディス
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北脇昇の《クォ・ヴァディス》は、戦後日本の岐路に立つ男を描いた作品である。題はラテン語で「(主よ)いずこへ行き給うぞ」を意味する。キリスト教の伝承では、迫害下のローマを逃れようとした聖ペテロが、現れたキリストに尋ねた言葉として知られる。
道標は二方向を指し、遠くの左手には赤旗を掲げたデモの隊列がある。男には画家自身の姿が重ねられてきたが、モデルは息子の晃だったという。巻貝の殻は、古い殻を出て新たな一歩を踏み出す寓意とも読まれている。東京国立近代美術館で北脇の回顧展に関わった大谷省吾は、殻と男の影が異なる時刻を示すことに注目した。戦時中に殻にこもっていた男が、戦後に現実と向き合う姿ではないかと解釈している。
北脇が肋膜炎で倒れた翌年、昭和24年(1949年)の第9回美術文化協会展に出品された。戦後、北脇の絵が展示されたのはこれが初めてだった。
- Genre
- Japanese & Asian
- Work Type
- Painting
- Technique
- 油彩・カンヴァス
- Year Created
- 1949
- Dimensions
- 91 × 117 cm
Artist profile

北脇昇
北脇昇は、小箱に集めた小石や木片、貝殻を拡大レンズでのぞき、身近なものにシュルレアリスムの世界を見つけた画家である。植物の姿を人や飛行機に見立て、やがて易や自然科学を絵に取り込んだ。 明治34年(1901年)、名古屋に生まれた。8歳のとき、父が朝鮮半島へ渡ったため、京都の広瀬満正夫妻に引き取られた。
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