
サンドロ・ボッティチェッリ
Sandro Botticelli
14 Artworks
本名アレッサンドロ・ディ・マリアーノ・フィリペーピ。フィレンツェの皮なめし職人の家に生まれ、金細工師の見習いを経てフィリッポ・リッピの工房に入った。師の甘やかな聖母像から、あの波打つ髪と流れる衣文の線を受け継いだが、リッピにはない硬質な緊張感を線に持ち込んだのがボッティチェッリだった。輪郭線そのものが感情を運ぶ、という発見。
メディチ家との縁が彼を時代の中心に押し上げる。ロレンツォ豪華王の従弟のために描いたとされる春(プリマヴェーラ)、そしてヴィーナスの誕生——貝殻の上に立つ女神の、重力を忘れたような佇まい。当時の絵画がまだ量感と遠近法に躍起になっていた中で、ボッティチェッリは平面性と装飾的な線描にあえて踏みとどまった。ルネサンスの主流からは半歩外れた、けれど誰より詩的な絵。1481年にはローマへ招かれ、システィーナ礼拝堂の壁画制作にも加わっている。
弟子には師の息子フィリッピーノ・リッピがいて、両者の工房は分かちがたく結びついていた。だが晩年、フィレンツェを揺るがした修道士サヴォナローラの説教に心を動かされてから、絵は一変する。世俗の寓意画を離れ、神秘の降誕のような切迫した宗教画へ。伝えられるところでは、自ら異教的な絵を焼いたともいう。晩年は困窮のうちに没し、しばらく忘れられた画家となった。再評価は19世紀、ラファエル前派の画家たちが彼の線の美しさを見出してからのことである。
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14 works


















