
ピエール・ピュヴィ・ド・シャヴァンヌ
Pierre Puvis de Chavannes
8 Artworks
リヨンの裕福な家に生まれ、はじめは理工科学校を目指すが病を機に画家へ転じた。アンリ・シェフェールやドラクロワ、トマ・クチュールの画塾に通うも長続きせず、結局は独学で自分の画風を築いていく。旅先イタリアで見たフレスコ壁画の静けさが、生涯の方向を決めたと言っていい。
世に出たのは、パリのパンテオンに描いた聖ジュヌヴィエーヴ伝の大壁画からだった。以後アミアン美術館、パリ市庁舎、リヨン美術館、さらには海を渡ってボストン公共図書館まで、公共建築の壁を埋める仕事を次々と手がける。人物は輪郭を淡くぼかし、色彩は漆喰の肌に馴染むよう白っぽく抑え、時間の止まったような牧歌の情景を横長の画面に並べていく。物語を声高に語るのではなく、壁そのものの静寂を邪魔しない絵という発想は、当時の画壇では異色だった。
この単純化された形態と平板な色面は、若い世代に強い刺激を与えた。スーラは点描の秩序立った画面構成に、ゴーギャンは装飾的な平面性に、それぞれピュヴィの壁画から学び取っている。晩年、長年の伴侶であったカンタクゼーヌ公女マリーと正式に結婚したのはパリで没する年のわずか数か月前、1898年のことだった。装飾画という地味な仕事に生涯を捧げた画家の作品は、のちにピカソの「青の時代」「薔薇色の時代」の静かな人物群像にまで影を落とすことになる。
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