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パオロ・ヴェロネーゼ

パオロ・ヴェロネーゼ

Paolo Veronese
12 Artworks

本名パオロ・カリアーリ。生まれ故郷ヴェローナの名で呼ばれるようになったのは、ヴェネツィアに出てからのことだ。石工の子として生まれ、はじめは彫刻を志したというが、画家アントニオ・バディーレのもとで絵筆を握るようになると、その才は瞬く間に開花した。20代半ばでヴェネツィアに移り住み、ティツィアーノの豊かな色彩とティントレットの劇的な構図がせめぎ合う画壇の中心で、独自の道を切り拓いていく。

ヴェロネーゼの真骨頂は、なんといっても大画面の饗宴図だ。カナの婚礼は縦横六メートルを超える大作で、聖書の一場面を借りながら、実際には当代ヴェネツィアの貴族社会そのものを描き出している。金襴の衣装、大理石の柱廊、犬や猿までがひしめく画面は、もはや宗教画というより壮麗な舞台装置だ。この作風は宗教裁判の目にも留まり、レヴィ家の饗宴では異端審問にかけられ、道化や酔っ払いを描いた理由を問い詰められたが、彼は動じることなく、絵の主題を「最後の晩餐」から「レヴィ家の饗宴」へと涼しい顔で改題してみせた。信仰よりも視覚の悦びを選んだ、いかにも彼らしい逸話である。

ドゥカーレ宮殿の天井画や、建築家パラーディオが手がけたヴィッラ・バルバロのフレスコ装飾でも、ヴェロネーゼは空間そのものを操る手腕を見せつけた。天井を突き抜けるような遠近法、柱の陰から顔をのぞかせる人物たち――絵画と建築が渾然一体となる祝祭的な空間を作り上げた点で、彼に並ぶ同時代人はいない。銀灰色を基調にしながら差し込む黄や朱の効かせ方は、後のティエポロをはじめロココの画家たちに直接受け継がれていく。享楽と荘厳が同居する画面は、四百年以上たった今も色褪せることがない。

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