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ナン・ゴールディン

ナン・ゴールディン

Nan Goldin
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ナン・ゴールディンは、1953年にワシントンD.C.で生まれた。11歳のとき、姉バーバラを鉄道自殺で喪う。家族という場所そのものが信じられなくなり、彼女は10代半ばで家を出た。ボストンのドラァグクイーンたちのもとに転がり込み、そこで初めてカメラを手にする。

ニューヨークに移ってからも、被写体はいつも恋人であり、友人であり、同じベッドで眠る誰かだった。ゲイバーの控室、セックスの後のベッド、殴られてまぶたが紫に腫れた自分自身の顔――ゴールディンは「チョーズン・ファミリー」と呼んだ人々の暮らしの内側から、外に立たず、そのままシャッターを切り続けた。スライド上映として繰り返し編み直され、1986年に一冊の写真集となったのが《The Ballad of Sexual Dependency》である。ストロボの赤とオレンジがにじむ生々しい色調、フレームの傾いたスナップショットの構図。そこに写るのは愛の甘さと暴力の痕、そしてエイズによって次々と友人が消えていった80年代の空気そのものだった。この一冊のあと、写真は「よそから見る」ものではなく「その場にいる」ものになった。

晩年に近い今も矛先は衰えず、鎮痛剤依存の当事者として、サックラー家とパーデュー・ファーマ社を追及する団体P.A.I.N.を立ち上げた。彼らの寄付を冠した展示室名を美術館から一つずつ剥がさせてきたその闘い方は、若い頃カメラを向けたときと同じ、被写体の外に立たない流儀のままだ。

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