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ジョン・シンガー・サージェント

ジョン・シンガー・サージェント

John Singer Sargent
12 Artworks

生まれはフィレンツェ、育ちはヨーロッパ各地を転々とする旅暮らし。両親ともアメリカ人だが、サージェントが故郷の土を踏んだのは成人してからで、パリでカロリュス=デュランに師事し、その速筆と大胆な筆致を叩き込まれた。手本にしたのはベラスケスやフランス・ハルス――黒の使い方、光の当て方をひたすら研究し、若くして肖像画家として頭角を現す。

1884年のサロンに出したマダム・Xの肖像が事件になった。パリ社交界の名花ヴィルジニー・ゴートローを描いたこの絵は、片方の肩紐がずり落ちた姿が挑発的だと猛烈な非難を浴び、サージェントはパリでの居場所を失ってロンドンへ移る。皮肉なことに、この一枚は今日では彼の代表作として真っ先に名が挙がる。

ロンドンに拠点を移してからは、大西洋の両岸で押しも押されもせぬ肖像画家となった。実業家や貴族、社交界の令嬢たちが次々に彼のアトリエを訪れ、カーネーション、リリー、リリー、ローズのような油彩の詩情も見せつつ、量産される注文肖像に次第に飽きも感じていたらしい。40代を過ぎると肖像の看板を半ば下ろし、水彩に没頭してヴェネツィアやスペインの光を写し取ることに喜びを見出した。素早い筆致で捉えた水の反射や布の皺は、油彩の巨匠としての名声とは別の、身軽な画家の顔を見せる。

晩年はボストン公共図書館やボストン美術館の壁画装飾という大仕事に取り組み、第一次大戦中には従軍画家として塹壕地帯を訪れ、毒ガスで視力を失った兵士の列を描いたガス攻撃を受けてを残した。1925年、ロンドンの自宅で急死。享年69。技巧の切れ味と人物の内面を同時に画面に載せる才は、同時代の誰にも真似のできないものだった。

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