
ジャスパー・ジョーンズ
Jasper Johns
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ジョージア州オーガスタに生まれ、サウスカロライナで育ったジャスパー・ジョーンズ(1930〜)は、朝鮮戦争の兵役を終えてニューヨークに戻ると、ロバート・ラウシェンバーグと出会う。二人は仕事場も生活も分かち合うほど密に交わり、その渦中の1954年、ジョーンズは手元にあった作品をすべて捨てた。それまで描いてきたものとは別物の絵画へ、自分を追い込むために。
翌年生まれたのが、蜜蝋を溶かしたエンコースティックで星条旗を写しとった《旗》である。誰もが一目で名指せる図柄を画面いっぱいに置きながら、ジョーンズはそれをつるりとした複写には仕上げなかった。蝋の層の下に筆の運びやコラージュした新聞紙の切れ端を沈ませ、旗であると同時に絵具の乗った一枚の板でもあるという、見えているのにどちらとも定まらない感覚を仕込んだ。以後、標的や数字、文字、地図と、彼はさらに既知の記号を選び続ける。選ぶ図柄がありふれているほど、絵の物質としての手ざわりのほうが前へせり出してくる。
この逆説めいた仕事は、抽象表現主義の熱っぽい筆致とは別の道を開き、ネオ・ダダの中心人物としてポップアートやミニマリズムへ続く足場を作った。1988年のヴェネチア・ビエンナーレで金獅子賞を受け、1990年にはアメリカ国家芸術勲章、2011年には大統領自由勲章を授かっている。
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