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カラヴァッジョ

カラヴァッジョ

Caravaggio (Michelangelo Merisi da Caravaggio)
7 Artworks

闇の中に人がぬっと浮かび上がる。カラヴァッジョの絵の前に立つと、まずその明暗の落差に息を呑む。背景はほとんど漆黒、そこに斜めの光が差し込み、腕や頬や布の皺だけを容赦なく照らし出す。舞台照明のようなこの手法は後にテネブリズムと呼ばれ、彼はそれをほとんど独力で確立した。

ミラノ近郊の町カラヴァッジョに生まれ、幼くして両親を疫病で失った後、ミラノで修業を積みローマに出る。若き日は静物や果物籠を描く仕事から始まったが、やがて宗教画に本領を発揮する。聖マタイの召命では居酒屋の一角にいるような胡散臭い男たちの中に光が差し、一人が指され、選ばれる瞬間が描かれる。聖人も殉教も、彼の手にかかると市井の酒場や路地の出来事のように生々しい。モデルには娼婦や物乞い、street の顔を使い、理想化を拒んだ。ホロフェルネスの首を斬るユディトの生々しい血しぶき、エマオの晩餐で驚愕に手を広げる弟子——どれも聖書の一場面というより、たった今目の前で起きた事件のように迫ってくる。

私生活は荒々しく、喧嘩や決闘沙汰が絶えなかった。1606年、賭け事のもつれからラヌッチョ・トマッソーニを刺殺し、ローマを追われる。以後はナポリ、マルタ、シチリアを転々としながら描き続けた逃亡の画業で、追われる身の焦燥がかえって絵の緊迫感を増したとさえ言われる。マルタでは聖ヨハネ騎士団に迎えられるも乱闘で除名され、恩赦を求めてローマへ戻る途上、熱病か何かでポルト・エルコレの浜辺で客死した。享年三十八。

彼が切り開いた劇的な明暗は、ルーベンスやレンブラント、さらにはユトレヒトのカラヴァッジェスキたちを通じてヨーロッパ中に伝播し、アルテミジア・ジェンティレスキやジョルジュ・ド・ラ・トゥールらにも深く刻まれた。荒くれ者の短い生涯が、絵画の見え方そのものを変えてしまった。

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