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BIEN(成清北斗)

ビエン(なりきよ ほくと)BIEN (Hokuto Narikiyo)
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一本の線が、文字であることをやめる瞬間がある。BIEN(ビエン、本名・成清北斗、1993年東京生まれ)のドローイングは、まさにその瞬間を捕まえようとする試みだ。アニメーションの動く輪郭や、街の壁に吹きつけられたグラフィティの文字――記号として意味を担っていたはずの形が、BIENの手のなかでゆるみ、ほどけ、キャラクターでも文字でもない何かへと変質していく。具象に近づいたと思えば抽象へ流れ、抽象に沈んだと思えばふいに眼や顔の気配が浮かび上がる。その定まらなさこそが彼の主題であり、つくられたイメージ(虚構としての幻像)と、物質としての世界の手ざわりとが、どこで触れ合うのかを問い続けている。

制作の核はあくまでドローイングにあるが、そこから映像、彫刻、インスタレーションへと表現を横に広げていくのがBIENの流儀だ。アカデミックな師承の系譜からではなく、アニメーションとストリートのグラフィティという、動きと速度を宿した視覚文化を出発点に持つ点に、この作家の独自性がある。

2016年、東京・ANAGRAでの《Living, Daylights, Room》で早くから発表を始め、2018年には青山・BLOCK HOUSEでの個展《WOOZY WIZARD》、同年ワタリウム美術館のグループ展《理由なき反抗》に参加。Reborn-Art Festival(2017/2019/2022)では宮城・網地島の建物壁面に直接ドローイングを描き込み、絵画を「壁」という支持体そのものへ解き放った。2021年の《DUSKDAWNDUST》(PARCEL/HARUKAITO by island、東京)、2022年に金沢21世紀美術館のインスタレーションルームで発表した《SCAN THE WORLD [NEW GAME]》、2023年の《PlanetesQue: The Case of B》(PARCEL、東京)と個展を重ね、東京都現代美術館のグループ展(2024)にも名を連ねた。

近年は活動を海外へも広げ、2024年にパリのベルヴィル・アトリエ(Les Ateliers d'Artistes de Belleville)で《Solo Exposition de BIEN》、山梨のギャラリートラックスで《Magic Lantern Phase》を開催、2026年にはロンドンの SEASON 4 EPISODE 6 で《In a Grove of Lights》を発表した。《YES EYE SEE》や《Debris - 15》といった作品名にもうかがえるように、見ること・崩れること・光が像を結ぶことへの関心が、線から立ち上がる世界を今も更新し続けている。

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