1881年の初版と、芳年の没後に刊行された一枚。構図は同じでも、題箋や装飾枠、配色、版元表記には、はっきりとした違いが見える。
1881年版と1894年版
月岡芳年の《皇国二十四功 伊達家の乳人浅岡》には、よく似た二つの版が残されている。
東京都立図書館が所蔵する一枚は、1881年に版元・津田源七から刊行されたもの。
Cugiraに掲載されている一枚は、芳年の没後にあたる1894年の松木平吉版である。
構図はほぼ同じだが、並べて見ると、単なる色違いではないことが分かる。
二つの版で異なる四つの部分
「皇国二十四功」の題箋
最も分かりやすいのが、画面右上に置かれたシリーズ名の題箋である。
1881年版では、縦長の題箋に「皇国二十四功」と記されている。1894年版では、題箋の周囲に文様を配した、より複雑な意匠へと改められている。
詞書の背景
画面上部の詞書は、文章そのものは二つの版で変わらない。異なるのは、その背景の処理である。
1881年版では詞書の上下にぼかしが入れられているが、1894年版では背景に文様が施されている。同じ文章でも、その見せ方が変えられている。
芳年の落款と印
画面右下にある芳年の落款と印も異なる。
二つの版では、落款の形や印の組み合わせ、配置に違いがあり、1894年版の刊行時にこの部分が改められたことが分かる。
屏風に引かれた横線
浅岡の背後にある屏風では、左側に引かれた横線の色が変更されている。
1881年版では橙色、1894年版では青色で摺られており、二枚を見分ける際の分かりやすい手がかりになる。
同じ構図を受け継いだ別の版
1894年版は、1881年版の絵をそのまま摺り直したものではない。浅岡や幼子を中心とする構図を受け継ぎながら、題箋、詞書の背景、落款、屏風の一部などが改められている。
同じ画題の版を見比べると、一見しただけでは気づきにくい変更が浮かび上がる。こうした違いを探すことも、浮世絵を版画として見る面白さの一つである。

月岡芳年
Tsukioka Yoshitoshi
1839–1892
Images
- 月岡芳年《皇国二十四功 伊達家の乳人浅岡》 — パブリックドメイン(TOKYOアーカイブ) / 東京都立中央図書館(TOKYOアーカイブ、東京誌料 H074-2)Source
